マンガ公募展で受賞・入選した作品です。以前、大学でご一緒させて頂いた画家の中西文彦先生から「人生の中で上げ潮の時期が必ず来る」と伺ったことがある。自身の中でも最初の上げ潮は1997年(平成9年)だった。その後ポツポツと人生で転機になるような仕事に恵まれるが、これだけ一時に賞を獲れた年はこの一度きりだ。これからも第二、第三の上げ潮時を導くべく頑張るぞ!
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( 第14回中日マンガ大賞・佳作受賞作品_1997年)
ミニ解説
当時は、会議といえば会議室に一堂に会して話し合うのが普通。そこに女子社員がお茶を持ってくるというのもよくある光景。会議室のテレビモニター越しに一堂に会し、そこにお茶を持ってくるって、誰がそのお茶を飲むの?というアイデア。
中日新聞社さんは受賞作品を額装して表彰式で使用した後、ご丁寧に返却をして下さった。なので玄関にこの作品をずっと飾っている。最近来られた方がしげしげとこの作品を観て、「これを1997年に描かれたんですね。今、正にこの状況じゃないですか!」と感想を頂いた。機器類はその時代のものだが、やっていることは確かに現代のオンライン・ミーティングと同じだ!そんな未来を予言した作品となった!!…とは大袈裟でした。

(第7回オホーツク国際マンガ大賞・優秀賞受賞作品_1997年)
ミニ解説
カーナビ製品を満載したトラックが道に迷って、ドライバーが近所の人に道を尋ねている、という図。当時はドライバーが道を尋ねるのも、普通の光景だった。でも積み荷がカーナビなのに…、というところが笑うポイント。

(第6回那須良輔諷刺画大賞・佳作受賞作品_1997年)
ミニ解説
ホームビデオがDVテープという記録媒体の使用で段々と小型化していた時代。手軽に家族の思い出を撮れる時代。撮られる側の子供も、何をなすべきか分かっていた時代。もし子どもたちが事故に遭ったら、やっぱり親としては記録に残したいのかな?という点と、大挙してやってくる事件事故現場のマスコミの様相を掛け合わせてみた作品。カメラマンなのか?親御さんなのか?、判断に困って警察官が放った一言がこのセリフ。

(第20回読売国際漫画大賞・佳作受賞作品_1997年)
ミニ解説
応募前にコピーを取り忘れてしまったが、幸運にも入選し図録に掲載されたものをスキャンした。(本当はカラー作品)
当時から言われ出した地球温暖化、それをテーマにしたノアの箱船の作品は世界的に見ても結構あったと思う。この作品は、バス停ならぬ船停で箱船を待つ人。船停の眼前まで海水が押し寄せている。遙か向こうにノアの箱舟は見えるが、果たして間に合うのか!?というアイデア。水面の表現と、旅行鞄が楽しかった。

(IFIA主催「cartoonist & their inventions」展入選作_1997年)
ミニ解説
京都精華大学で教授をされていた牧野圭一先生のつてで5〜6名の学生、院生、非常勤講師が作品を出させてもらったのが、スイスにあるINTERNATIONAL FEDERATION OF INVENTORS’ ASSOCIATIONSが主催する「cartoonists & their inventions展」で入選した作品。
パソコンから印刷したら、出て来た紙はシュレッダーですぐに裁断されてしまうというプリンターを発明した、というアイデア。こういうナンセンスは大好きだ。
ちなみに2020年に刊行された絵本「潜入!天才科学者の実験室」に登場するDr.シュガーだが、この博士が原形となっている。著者のくさばよしみさんが、このホームページでこの絵を見て「博士はこんなイメージで」、と指定された。

(第28回読売国際マンガ大賞・近藤日出造賞受賞作品_2007年)
ミニ解説
昼間に寝転びながらテレビを観ていた際、「監視カメラがどうのこうの」という内容のニュースか何かを観てふと思いついた「監視している者も監視されている」というアイデア。応募した後、すっかり忘れていたら突然電話がかかってきて驚いた記憶がある。先ずは読売新聞の京都支局の記者さんが、その後、東京から衛星放送番組の撮影クルーが来られて取材して頂いた。選考委員の先生方のコメントの中で、「赤い制服を着ているこの監視員は北朝鮮の人かな?」というものもあったが、描いている本人は特定の国をイメージした訳では無く、目立たせたくて赤い色を塗っただけだった。しかし、人によって色々な解釈があるのは面白いな、と思った作品だった。
ちなみに画中のモニターの中に私がいます。(しかも3箇所!)。またミッション:インポッシブルのトム・クルーズばりに天井から吊り下がっている人も映っていますよ。細かいけど探してみて下さい!!


