◆「潜入!天才科学者の実験室」第2巻(汐文社)刊行!

【第2巻が刊行されました!】

去る7月31日に、汐文社より「潜入!天才科学者の実験室・第2巻_生き物はなぜ生まれた?~リンネほか(佐藤文隆/編著 くさばよしみ/著 たなべたい/絵)」が発売されました!

【古代の生き物から昭和10年頃のアイスの外箱まで?】

この本では、様々な年代、様々な国で活躍した科学者たちを描いています。編著の佐藤文隆先生によると、それぞれの科学者が実験を重ねて発見した時、実験室には手当たり次第に試した試作品や役に立たなかったもの、資料などが渾然一体となって散乱しているそうです。1人の科学者の実験室を描くということは、その時代の生活を描くことになります。例えば第5章では、今西錦司がカゲロウを持ち帰るのに使ったアイスの外箱やタバコの箱も調べました。昔であれば現地や図書館、博物館などに実際に足を運んで調べたりしなければならないものも、ネットの発達によって、行くことの難しい外国の博物館の展示物や、昔の様々なものを発見出来て大変助けられました。

調べ方にもコツがあり一筋縄では思った通りの結果は出てきませんが、1巻で培った経験を元に、思ったものを調べる方法を編み出していけた仕事でした。調べることは楽しくもあり、下手すればついつい時間を忘れるほどです。いざ描き出そうと思っても、未だ分からないものが出て来てしまうと、「え〜、また調べるのはしんどいなぁ〜」と萎える気持ちをグッと堪えて更に調べました。先述の今西錦司の章で、昭和10年代の京都の鴨川近辺の地図や、その当時の電話帳が発見出来た時は、1人仕事部屋の中でガッツポーズをしていました。

【描き手自身が各科学者の時代を観光出来なければ駄目】

昔から、封筒の宛先の外国の地名を見たりすると、「あっ、これはキリスト教の聖人の名前なんだ」などと、行ったことの無い地に思いを馳せるのが好きでした。この仕事でも、調べていけばいくほど「この時代の食べ物ってどんなのだろう?」とか、「着ている服装は?」、「窓やドアの形は?」といったその当時の生活様式を調べないといけないことに気が付きます。著者のくさばさんから「この時代のこんな感じで」と一括りに指定されても、描く方は個別具体的なものを調べないと描けないということです。くさばさんもかなり綿密に資料を調べて事前に渡して頂いていますが、文章に比べると絵はとても具体的なのです。そこがしんどくもあり、とても楽しいところであります。だから絵を描く人は、描く対象の世界にどっぷりと浸かってその地を観光出来なければ、説得力のある良いものは描けないと思っています。

【鶴の恩返しの鶴のように】

第1巻同様、恩返しの鶴が自身の羽を一枚一枚むしって機織りの生地に織り込むように、大げさに言えば自分の「命」をこの本に込めました。銅駝美術高校卒業間際に、京都国立近代美術館で観た書家・井上有一の展覧会で、「毎回が遺作」というコピーと、その作品に大変な衝撃を受けました。今自分のしている仕事がもし遺作になってしまっても悔いは無いか?、という自身への問いかけを始めたきっかけとなった出来事です。それ以降「毎回が遺作」の心持ちで極力一つ一つの仕事に臨んできたつもりです。殊に最近は恩返しの鶴のように自分の命の羽を1枚1枚むしり取って作品に込めることを心がけています。重苦しい話で恐縮ですが、そんな思いの詰まった本となります。お世話になった何人かの恩師の先生方に「詰まりすぎているので、もっと余白が欲しい」と仰って頂けました。その通りだなと思います。後から観てもキツキツに詰まっているなぁと。これを観た子どもたちが、どこかのページの何かに興味を持って「将来の自分の仕事のきっかけになってくれたら嬉しいな」と思い、キツキツですが手を抜かずに一つ一つのものを描きました。

そんな第2巻ですが、第1巻共々どうぞよろしくお願い致します。

 

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よろしくお願い致します!!

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